こんにちは、夫婦揃ってドラッグストア正社員共働きのふくのしまです。今回は薬剤師である妻の記事になります。
私の妻は新卒でドラッグストアに就職して、10年以上薬剤師として調剤業務を行っています。
入社してから3年後には管理薬剤師として調剤室の管理者になっています。途中1年間はさらに上の役職であるエリア長も経験しています。
エリアに存在する薬局全体を管理する仕事よりも、薬剤師として目の前の患者さんに集中して接したいという理由から、今はまた管理薬剤師に戻り仕事を続けています。
そんな経験豊富な妻から、ドラッグストアで薬剤師として働く中でよかったと思える点、逆につらかったと感じた事をインタビューして聞き出しました。
「ドラッグストアで働くってどんな感じなのだろう」
「現場で働いてる薬剤師のリアルな声が聞きたい」
そんな方にオススメできる内容になっております。最後までご覧頂けたら嬉しいです。
ドラッグストアで働いてよかったこと
「質問あるんだけど、ドラッグストアで働いてて良かったこと何かある?」
「え!?急にどうしたの?笑」
夕食時に私から唐突な質問を受けた妻は、少しの間考えてから以下のようなポイントを話してくれました。
- 色々な人生観の人と関わる事ができる
- 給与はドラッグストアはやっぱり良い
- 雰囲気は軽くて新人もチャレンジができる
- 上昇志向の高い人はチャンスが多い
ひとつずつ掘り下げて説明します。
色々な人生観の人と関われる
ドラッグストアは本当に様々な事情の方が働いています。同じ薬剤師でも社員、嘱託社員、パートと雇用形態が違います。ドラッグストアで働くまでの経緯も人それぞれです。
妻のようにドラッグストアに新卒で入社してずっと働いている薬剤師もいれば、病院や研究職から転職する薬剤師もいます。ずっと現場にいる薬剤師もいれば、結婚・出産で少し薬局から離れていた方もいます。
さらにはドラッグストアは物販と薬局で構成されている店舗が多く、物販には店長などの総合職社員や、主婦パートや学生アルバイトもいます。病院や研究職ではあまり関わる機会がない人と関われる事が魅力のひとつだと、妻は言います。
もともと妻は病院薬剤師や製薬会社のMRを目指して就職活動を行っていました。実地研修も活動的に受けていたそうです。
その際にたまたま研修先がそうだったのか、ひたすら閉鎖的な空間にいて特に会話もせずひたすら淡々と作業をする職場に、少し違和感を持ったそうです。
「たしかに薬剤師のスキルは向上しそうだ。けれどコミュニケーション能力は鍛えられるのだろうか。人間として自分の望む成長はできるのだろうか。」
接客業ではない職場なので、薬剤師として求めれらる技能もドラッグストアとは異なります。
ドラッグストアは患者様の満足度を求められます。その為には相手の気持ちを推し量り、その都度適切なコミュニケーションを図る能力が必要になります。
患者様も老若男女さまざまな方が来局されます。その方を知るためには普段から、色々な方と接する事に慣れていなければなりません。
薬剤師はその知識と技能だけでなく、人間性も磨き続ける必要があるのです。
その点ドラッグストアは多種多様な従業員が働いていて、普段からそのトレーニングができるのです。そして患者様と実際に接してチャレンジができます。
妻はドラッグストアならば色々な人生観の方と接する事により、人間として大きく成長できると考えたそうです。
妻は調剤室の従業員はもちろん、物販のパートや学生アルバイトとも積極的にコミュニケーションをとっています。この世代の人はこういう考え方をするのかと、とても勉強になると言っています。
新しい価値観と常に触れ合う機会があるということは、気持ちもフレッシュな状態を維持できます。
給与がドラッグストアは良い
私の妻の年収は600〜700万円くらいです。これは皆さまの感覚的にどのように感じるでしょうか?
振れ幅が大きい要因としてはボーナスの影響があるからです。業績によって夏と冬のボーナスが1ヶ月分の給与と大差ない場合もありますし、2倍近くまで支給される場合もあります。
しかし基本的には年収は600万円をキープできています。妻の場合は勤務歴も長いので、そういったものも加味されています。
周囲の薬剤師仲間と給与の話をすると、この年収はやはり高いと言われるそうです。ドラッグストアに勤務している私からすれば「このくらいは普通なんじゃないの」って感覚でしたので意外でした。
ただ注意が必要な点があります。
ドラッグストア薬剤師は比較的給与を多く貰いやすい事は事実ですが、企業間の格差があります。
全国転勤の条件を飲まなければ給与が上がりにくい企業もありますし、給与が高い企業は営業時間も長いケースも多いです。
日祝も開局している薬局も増えてきていますし、給与が高い分だけ働く環境もハードな可能性もあります。
また管理職など役職がついて初めて給与がグンと高くなるケースもあります。
企業毎のリクルートページをよく確認して、疑問な点は採用担当に細かく問い合わせしましょう。
働く環境と給与を天秤にかけて、自分が望むバランスで働くことができる企業を探しましょう。
転職サイトが役に立ちます。活用していきましょう。
調べる時間が取れない、自分で調べることが面倒な方はアドバイザーに聞く事もオススメです。アドバイザーは条件の交渉も行ってくれます。
新人の頃から色々なチャレンジができる
ドラッグストアはどちらかというと風通しは良い職場です。入社したての頃は座学研修や、実地研修の連続ですが、ある程度研修が終われば業務をガンガン任されます。
新しい業務を次から次に吸収することができます。やはり実際に体験してみることこそが、仕事を覚える最大の近道です。その点ドラッグストアは優れています。
ドラッグストアの営業の考え方的に「自然とそうなっていく」と言った方が正しいかもしれません。
ドラッグストアも小売業でありますので、経費に関しては本部からうるさく言われます。会社によっては薬剤師は特に厳しくチェックされる事もあります。
ドラッグストアは1ヶ月の処方枚数によって、大体薬剤師はこの人数で運営をするという目安がある程度決められています。
新人は最初は「1人」としては含まれず、完全に研修期間限定でプラスワンで配属されます。研修期間が終わり、業務を一通り習得した後はすぐに薬局の「1人」として見なされます。
そうなった時に新人薬剤師が1人分としての動きが出来なければ薬局は大変な事になりますね。
だからこそ管理薬剤師も必死に教育します。その熱を感じて、新人も必死に勉強をして実務を経験して早く一人前になろうという雰囲気が出来上がるわけです。
教育のペースは早く新しい事にどんどんチャレンジできる環境がドラッグストアには整っています。
上昇志向が高い人はチャンスがある
管理薬剤師は早ければ3年ほど経験を積めばなれます。真面目にコツコツと仕事を取り組めば比較的誰でも薬局の管理者に就く事自体は難しくありません。
さらにドラッグストアはチェーン展開をしている企業が多いので、管理薬剤師として評価されればさらにエリア長などの、地域を管理するポジションも狙えます。
私の妻も1年間ほどやっていました。仕事は自分の担当地域の薬局のシフト管理、各薬局の抱えている問題を一緒に解決していく事がメインです。
会社の方針を薬局に伝えて浸透させる役割もあります。会社と薬局の間に立つ事になり、大変な事も多いですが、やりがいもありますし会社にも評価されやすいポジションです。
そしてここまで役職が上がると給与に手当がつくようになり、より収入は増えます。薬剤師から本部の役員クラスまで上り詰める方も珍しくありません。
これは私の体感ですが、エリア長は結構入れ替わりが激しい印象があります。実際の所、私の妻も本人の希望で1年間で管理薬剤師に戻っています。
やってみたらイメージと違う、薬剤師としての仕事にやっぱり専念したい、という方も多いのです。
つまり席が空きやすく、チャンスが多いという事になります。
もし企業でどんどん出世したいという意欲がある方は、ドラッグストアはうってつけの環境です。ぜひチャレンジしてください。
ドラッグストアて働いてつらかった事
妻は明るくてどちらかと言うと能天気な性格です。「何とかなる」の精神でここまで仕事を続けています。
しかしそんな妻でも10年以上働いていると、つらかった事はいくつもあります。
つらいことは個人差がありますが、今回は私の妻のリアルな実情を話します。参考になれば嬉しいです。
- 理不尽に怒られる事もある
- 幅広い仕事を求められる
- 拘束時間は長くて夜も遅い
- 少ない人数で薬局をまわす
これらも掘り下げて解説します。
理不尽に怒られる事がある
これは同じドラッグストアで働く者として私も共感できる事です。前述したようにドラッグストアは地域の様々な方がいらっしゃいます。
中には最初からなんかイライラしてる方もいます。ちょっとした言葉に引っかかって一気に捲し立てて怒ってくる方もいます。
期限が切れてしまった処方箋を持ってきた患者様に受け付ける事ができない旨を伝えても、「何とかしろ!」の一点張りの方もいるそうです。
また妻の場合は調剤業務を担当しますので、基本的には調剤室内で作業します。しかし物販のお客様の対応も発生する事があるそうです。
売場で品切れしてしまった商品の入荷日をお客様に聞かれて、さすがに物販の事まで把握していなかった妻は、売場の従業員に引き継ごうとしました。すると…
「何で同じ店舗にいてわからないんだ!」
と怒られたそうです。同じドラッグストア店員としては妻の対応は間違っていないと思います。物販と調剤はそれぞれ担当が分かれていますので、お互い分からない所はそれぞれ引き継ぎ合ってお客様対応をしています。
しかしそれでは納得しないお客様も中にはいるのです。
薬機法として正しい対応、会社として正しい対応をしても利用する患者様には怒られる時に理不尽を感じるそうです。
「ドラッグストアは接客業でもあるから、無理難題を言われても、ただ冷たく突っぱねる事はできない。そこが独特で、慣れない人は戸惑うかもしれないね。」
「私はそんな方も最後には笑顔で帰せるように頑張ってるけどね!人間力を毎日鍛えないといけない。」
今では妻は前向きに捉えて頑張っているようです。
幅広い仕事を求められる
ドラッグストアの薬剤師に求められる仕事はかなり幅広いです。
薬剤師としての調剤業務も、患者様に接客業としての言い回しや対応が求められます。どんなにこちらが正論で訴えても、患者様が不快に感じてしまえばクレームになってしまいます。
またドラッグストア唯一の業務としてOTC薬の販売もあります。商品毎の成分や特徴を覚える事も必要になりますし、要指導薬や第一類医薬品以外のOTC薬の接客も行います。
調剤業務が忙しくて立て込んでいる時間帯にもOTC薬の接客が入るケースも多く、調剤業務だけに集中できない環境はドラッグストアだけなんじゃないか、と妻は言います。
管理薬剤師ともなると、毎月のシフト管理や従業員の教育もしなければなりません。薬剤師としての能力だけでなく、管理能力も求められます。
「ただ単に医薬品の知識が豊富なだけだと、ドラッグストアで働く場合は大変かもしれない。管理能力を発揮する為には、コミュニケーション能力は切っても切れない。」
「ひとつの事だけを見るのでなくて、視野を広くしてマルチタスクで仕事をしないといけないのは大変な所かも。」
妻はやりがいと捉えていますが、人によっては辛く感じるかもしれません。
拘束時間は長くて夜も長い
ドラッグストアは比較的拘束時間は長いです。これは物販側の私もそう感じます。
妻も10時から出勤して、21時まで仕事なんて事はザラにあります。店舗によりますが日祝に開局している薬局も増えてきています。
19時、20時までが定時はもはや当たり前の事と考えた方が良いのかもしれません。この時間で上がれれば良いのですが、実際は薬歴の記入などでさらに帰る時間が遅くなる事も多いです。
ドラッグストアの給与の高さは、残業代や夜間帯に働く事も加味されてます。給与は良いけど帰る時間は遅い事も多いです。
他の職種でも残業は発生しますが、ドラッグストアの場合は夜遅くまで働く事は当たり前という意識で臨んだ方が良いかもしれません。
少ない人数で薬局を回す
ドラッグストアは人件費に対してはかなりシビアです。基本的に人員過剰で店舗をまわす事はまずありません。
薬局の1ヶ月あたりの処方箋枚数によって、この人数で営業するというパターンが決まっているのです。
明らかに足りない人数で回す事もないのですが、人手はかなりギリギリの人数で回すことが多く感じます。
その為、薬剤師は一人当たりの仕事量が重要になります。しっかりと1人分の働きができる方、それ以上の働きができる方もいれば、逆に「1」として機能できない方もいます。
どうやったら全員が1人分の働きをきちんとできるか、ドラッグストアにおいては薬剤師の教育も非常に重要な要素です。
とはいえ新人は最初は1人としてカウントせず、薬局内で研修期間がありますので安心して下さい。最初のうちにしっかり学べば大丈夫です。
「とにかく最初の1年間は死に物狂いで仕事を覚えないといけないと思う。一通りの指導が終わったら、1人としてカウントされちゃうからね。」
「研修先の店舗に本配属されれば周りもまだそういう目で見てくれる。けど研修終わったらいきなり別店舗に配属されるケースも多い。」
「受け入れ先も戦力の1人として考えて仕事を組み立ててくるからね。」
【最後に】薬剤師としてどう働きたいか
いかがでしたでしょうか。今回は私の妻が感じた、ドラッグストアで働いてよかった事、つらかった事をまとめました。
働く上での価値観は人それぞれで、妻がよかったと思う点も人によってはつらい事として捉えられると思います。
重要なポイントは自分がどういう環境で働きたいかです。今回の記事は現場目線で良くも悪くもリアルな内容をお伝えしています。
私の個人的な感想としては、ドラッグストアの薬剤師は臨機応変な対応が求められるんだなと思いました。
患者様が多く混んでいる時は調剤業務に集中しながらも、それとは別に急に対応しなければならない事が頻繁に発生します。
その際に業務の優先順位をつけて、さらに自分がその仕事を行うのか、または誰かに代わりにやってもらうのか。その誰かは調剤室の人なのか、それとも店長や物販側の従業員に頼るのか…。
状況を見極めて仕事の意思決定を行う能力が必要なのかな、と私は感じます。
ひとつひとつの内容を自分の価値観に照らし合わせて、ぜひドラッグストアの薬剤師として働く事を前向きに検討してみて下さい。
薬剤師向けの記事は今後もどんどん増やしていきますので、ぜひまたチェックして頂ければ嬉しいです。
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