ドラッグストア店長の仕事内容、必要な能力、つらいこと。

ドラッグストア(総合職)

どのドラッグストア店舗においても共通して必ず存在しているのが「店長」です。

店長は店舗に関わるヒト、モノ、カネの管理が仕事です。

その為、業務内容は幅広いものになります。取り扱いサービスが元々幅広いドラッグストアにおいて、さらに仕事は多岐に渡ります。

これをやりがいと捉えるか、負担と捉えるかは個人の意識によって変わります。

また自分自身が店長にならない場合でも、店舗に配属されるならば必ず店長の下に就くことになります。

その際は店長のサポート役として働かなければなりません。

店長以外も店長の役割は知っておかなければなりません。

店舗運営において店長はキーマンであることは間違いありません。

今回の記事ではそんな「店長」をピックアップして解説致します。この記事を読むと以下の内容がわかります。

今回の記事でわかる事
  • 店長特有の仕事
  • 店長によくある悩み事
  • 悩み事の解決に必要な能力
  • 店長経験で得ることができる学び

将来店長になりたい方、店長になれそうだけど実際やるとなると不安な方、店舗の副店長ポジションの方、これらの方達にとっても役立つ内容になっています。

私自身も店長の経験は勿論ありますし、様々な店長の下でも働いてきました。そんな実体験からの学びから解説していきます

是非最後まで読んで頂けると嬉しいです。

店長特有の仕事

店長はある種の経営者です。

店舗に関わる事の責任は最終的に店長が負いますが、その分ある程度は店舗に関する事は店長が決めることができます。

例えば店舗を運営するに当り、必要な業務は様々なものがあります。

店長がやらなければいけない仕事のイメージ
  • 店舗のシフト作成
  • 店舗の従業員の採用
  • 色々な書類仕事
  • トラブル対応

・・・などなど

何となく店長がやってそうなイメージがありますよね?しかしこれらは本当に店長の本来の仕事なのでしょうか??

実はこれらは必ずしも店長がやらなければならない業務ではありません。

店長が部下にやり方を教えてしっかり教育できていれば、誰がやっても良い業務なんです。

最終的な責任は店長が負いますので、どの部下にどの仕事を任せるかは店長が自己責任で決めなくてはなりませんけどね。

店長は店舗の経営者ですので、部下にどの業務を任せるかは自由に決定することができます。

極端な話をすれば部下の教育を徹底すると、自分がいなくても店舗がまわる環境を作る事も不可能ではないわけです。

では逆にどうあっても店長にしか担当することができない業務は何なのでしょうか?

ここでいう「店長特有の仕事」は、「どうあっても店長にしか担当できない事」を前提に解説していきます。

こちらの前提から言える、店長特有の仕事は以下の3つです。

店長特有の仕事
  • あらゆる事への意思決定
  • 数値責任を負う
  • 従業員の教育

それぞれ細かく解説していきます。

あらゆる事への意思決定

店長の仕事で最初に私が思い浮かんだ内容が、店舗の最終的な意思決定を下すということです。実際の業務においても発生する頻度が多かったです。

店長は店舗のトップの存在です。

基本的には店舗の方向性を決定する最終権限は店長にあります。店舗の他の従業員にはありません。

意思決定というと抽象的ですが「ヒト・モノ・カネ」に関わる事と言うとイメージが沸きやすいでしょうか。

要するに店舗のあらゆる事は店長が最終的な意思決定を下すということですね。

これもあれも意思決定
  • パート「次のあの売場は何の商品並べますか?」
  • 店長「そろそろ花粉の時期だから花粉薬売場にしましょう」
  • 副店長「この新商品を発注しようと思うんですがどうですかね?」
  • 店長「良いと思います。それでいきましょう」
  • 本部「この販促はそちらの店舗でやれませんか?」
  • 店長「ちょっと難しいので今回はやめておきます」
  • アルバイト「働く時間を増やしたいんですけど・・・」
  • 店長「・・・検討してから答えますね(気持ちは嬉しいがこれ以上人件費は増やせないな。人件費について上と相談が必要だ)
  • お客様「あの従業員の接客態度がなっていない!」
  • 店長「申し訳ございません(教育のやり直しが必要だ、次の出勤日に研修時間を作ろう)

こうしてみると店舗仕事において、ありとあらゆる場面で意思決定の機会がありますよね。

従業員も勿論色々考えて業務に関する決定をします。

しかし最終的な決定権は店長にあります。これは店舗組織という構造的に店長にのみの権利となります。

数値責任を負う

店長は店舗の経営者ですので、店舗に関する数値の責任は店長にあります。

驚かすつもりではないですが、会社は数値にはシビアです。

新任店長が店に着いて早々いきなり売上対策を求められる事だってあります。

数値成績が振るわなければ降格する可能性もあるわけです。

「数値」と言ってもその種類は幅広く、店長は細かな数値を知っていなければなりません。

簡単に大きな分類でまとめると以下になります。凄くザッと分類してます。

ドラッグストアの数値
  • 売上高
  • 粗利高
  • 販管費(店舗経費)
  • 純利益

最終的に最も大切な数値は純利益です。会社員の使命は適正な利益を出すことですからね。

純利益を出すために、売上を上げるのか、販管費を抑えるのか…数値のコントロールは店長の腕の見せ所です。

従業員の教育

前述したように店舗運営には様々な業務が必要です。

各業務を誰にどこまで任せて、どのように店舗運営を円滑に行うかの最終決定権は店長にあります。

そして店長の思い描く理想の店舗運営を実現する為には、従業員の教育が必要になります。

部下となる従業員に、店長の考える目指すべき姿とそこに到達する為の道のりを示すのです。

私自身の店長経験からも、教育は時間がかかりますし根気がいるものだと言えます。

年齢も価値観も様々な従業員が働いているのがドラッグストアです。人により得意不得意もあります。

それぞれの従業員とどれだけ向き合えるか、人間力を試される仕事です。

ドラッグストア店長によくある悩み

店長はプレーヤーではなくマネージャーです。店舗の管理者です。

店長特有の仕事内容から見てもそれは納得して頂けると思います。

店舗で唯一のマネージャーであるが故に悩みを抱えやすいのも事実です。

ここでは店長が抱え込みやすい悩みについて具体的に触れていきます。

数値に関する本部と店舗の板挟み

店長は店舗と本部の間に立つ存在です。中間管理職と言っていいかもしれません。

時には本部側から難しい数値を目標に提示される場合もあります。

数値達成に向けて行動してうまく結果が出た時の達成感は素晴らしいものです。

しかし逆に数値がうまく出ない時の焦燥感はつらいものがあります。

また本部側だけでなく店舗側の圧も感じる時もあります。店舗側というのは従業員達のことです。

従業員は機械ではありません。それぞれか違った価値観を持った人です。

本部側の指示とはいえど、その時の個人の精神的状況によっては指示をうまく飲み込んでもらえない場合もあります。

せっかくの売上に向けての計画も実際に実行するのは人です。従業員が動いてくれないと困ってしまいますよね。

このように店長は本部側の指示と従業員の反発の板挟みになり、数値達成に関する悩みを抱きやすいです。

待遇と給与

店長になるまでは職位と給与が上がっている実感が目に見えて体感しやすいです。

店長はどの会社でも必要な存在ですので比較的目指しやすい事は間違いありません。

しかし店長になった後の待遇と給与に関しては不満を持つ方がいます。

管理職は数値責任がついてまわります。より上のポジションに就いて、さらに給与を上げる為には結果が必要になります。

同じ立場の店長はライバルになります。自分が結果を出した以上の結果を出す店長がいた場合、相対的に評価が上がらないという事も起きるかもしれません。

もちろん数値だけが全てではありません。

店長以上の立場になるという事は、自分と同じ店長社員も管理するということになります。

店長達の悩みを聞いて一緒に考えてあげられる人間力も必要になってきます。

意識が高い社員ほど目標と現実のギャップに不安になり、不満を抱きやすい傾向があります。

アルバイト・パートの採用、シフト

店長は利益を出す事が使命です。利益を出す為には適正な人件費でシフトをまわす必要があります。

あまりに人を使い過ぎれば、利益を人件費で食い潰してしまいます。

逆に少な過ぎる人数で営業しているとお客様へのサービスの質が低下します。

一時的には人件費を抑えられても、サービスが行き届いていない店からはお客様は離れていきます。

結局最終的に売上が低下し利益も下がります。

こうならないよう適正な人件費で店舗をまわすことは重要です。店長はシフトの理想像を持っていなくてはなりません。

しかし理想的なシフト通りにいかないことも多々あります。

働く従業員は年齢も生活環境も様々です。中々店舗の都合通りに働ける人は見つからなかったりします。

採用をしたくても求人がこない、なんて事もあるわけです。

人が多いと人件費の数値的な悩みになりますが、人が常に不足している状況だとシフト作成自体がストレスになってきます。

誰も出れる人がいないと、そもそもシフトを形にできませんからね。

店舗運営に人は欠かせないが故に悩みはつきものです。

ドラッグストア店長に必要な能力

ここまでで店長特有の仕事、またそれ故に発生する悩みについて解説しました。

これらを踏まえて店長に必要な能力とは何なのでしょうか?

その答えは3つあります。1つは最重要な能力、2つは次いで重要な能力です。

最重要能力から解説します。他の何よりもまず押さえておくべき能力です。

能力というよりは心構えと言った方がいいかもしれません。

2つの重要な能力に関しては、店長という立場上どうしても必要になる能力です。

知識的には難しい能力ですが、こちらの2つは実務経験を通して十分学んでいけるものです。

それぞれ順を追って解説します。

【最重要】人と関わる能力

人と関わる、これこそが店長に最も必要な能力です。

話上手になれ、という事ではありません。コミュニケーション能力は人と関わる能力の一部に過ぎません。

ドラッグストアに関わる様々な人達と、真摯に誠心誠意向き合おうとする姿勢が重要だということです。

周囲の協力なしには店舗は成り立たない、その事を重々理解した上で人に感謝をする、言動に現そうと努める。その姿勢を大切にしましょう。

ドラッグストアに関わる「人」をさらに深堀りします。

お客様

ドラッグストアの仕事の全てはお客様に向けて行っています。

全ての仕事の結果はお客様に支持されたかどうかです。支持された結果が数値として現れます。

その為には積極的にお客様に興味を持って関わっていかなければいけません。

店舗の売場に立ちお客様の買い物をする様子を見ても良いですし、店舗周辺の街の雰囲気を歩いてみるでも良いかもしれません。

地域の方が店舗に何を期待しているかを想像して、店舗はお客様に対してアクションを起こす事が必要です。

お客様に積極的に関わる事はつまり、お客様になり得る地域の方を知ろうとする姿勢のことです。

これを無くしては店長として数値達成は厳しいでしょう。

従業員

店舗運営には働いてくれている従業員の協力が必要不可欠です。

よりお客様の為に良い店舗になるためには、従業員の仕事のレベルをより高くする必要があります。

店長は従業員の教育が仕事のひとつですので、従業員を教育してお客様により良いサービスを提供できる店舗にしなければなりません。

しかし教育は時間がかかりますし大変な仕事です。価値観が人それぞれ違いますからね。

従業員の価値観、得意不得意によって教育の仕方も変わってきます。

その為にも店長は普段から積極的に従業員とコミュニケーションをとって、関係性を築いていかなければいけません。

仲が良くなればいいという事ではありません。仕事上必要な最低限の関係は築いておきましょう、ということです。

仕事仲間として最低限の関係が築けていれば、店長の従業員への指示も通りやすくなります。

本部

本部というと機械的な響きですが、本部を作っているのもやはり人です。

株主は熱い気持ちで会社を立ち上げて、仕事を社長に託しています。社長はその想いを受け取り世の中に価値を生み出すために本部を立ち上げます。

店長は現場だけでなく、本部とも関わり合う機会が多いです。

本部は本来は現場である店舗のサポートをしてくれる存在です。しかし本部と店舗の意思疎通が取れていなければ、その機能はスムーズに発揮されません。

店長は本部との連携を行うため、普段から意識して店舗に関することを本部側の人と共有しましょう。

本部が本来の機能を発揮できた時には。これほど心強い存在は他にありません。

【重要①】店舗数値の知識

店長として働く上で必要な重要な能力のひとつです。

店長の使命は店舗で利益を出す為です。利益は数値ですので、どうしても店舗に関する数値の知識は必要になります。

例えば毎月赤字が50万出てしまっている店舗に配属されたとします。

この場合はどうしたら黒字が出るでしょうか?

以下は一例です。

  • 売上高における粗利率を改善して最終的な粗利高を増やす
  • 客数を増やし売上高を上げる施策を考える
  • 買い上げ店数を増やし売上を上げる
  • 相乗積を計算してテコ入れする部門を絞る
  • 粗利率が高い単品を推奨販売する
  • シフトの適正化を図り人件費を抑える

純利益を出すためにどの数値をどのように変えていきたいか、最終的に判断するのは店長です。

知識が全く無い状態ですと判断するにできません。

その為にも店舗数値の知識は重要な能力です。

数値というと難しく感じるかもしれませんが、心配はいりません。

店長になるまでに実務経験を通じて十分学ぶ機会はありますし、店長になった後でもわからない事を教えてくれる人は身近に必ずいます。

必要な能力だとしっかり意識して前向きに勉強する姿勢さえあれば問題はありません。

【重要②】商品、売場の知識

こちらも重要な知識です。利益を出す為にはお客様に商品を買ってもらう必要があります。

どの商品をどのように売場に陳列するかが大切です。

そして売れる売場というものはある程度の規則性があったりします。

店長は常にアンテナを貼り、自分の店舗の売場が地域のお客様にとって本当に買いやすい売場かを見なくてはいけません。

自分の店舗だけでなく競合の店舗の売場のチェックが時には必要です。売場陳列だけでなく価格も差別化の大きな要因になります。

また自分の部下である従業員を教育する為には、まず店長自身の知識が無いと教えることはできません。

接客の仕方から売場の作り方、従業員のレベルが上がるほど地域のお客様は買い物がしやすくなります。

「どれだけの知識が必要なんだ・・・」

と不安に感じる必要はありません。これも実務経験の中で自然と身につけることができる能力です。

普段の仕事の中でも、「今、自分は重要な知識を学んでいる」という意識を高く持つと、どんどん知識は増えていきます。

【最後に】一度は経験してみる事がオススメです

今回の記事では

店長の仕事内容→仕事内容から発生する悩み→仕事内容や悩みに対して必要な能力

細かく解説させて頂きました。

店長を経験した私の意見としては一度は経験してみることをオススメします。

店長という仕事を通じてでしか経験できない事があります。

従業員と力を合わせてひとつの目標を達成し、それが地域の役に立っている実感を得られた時の満足感は中々普段は経験できません。

勿論大変なこともあります。毎日自分の能力を最大限まで発揮しないといけない日々の連続。時には疲れてしまう事もあるかと想います。

しかしそれでも一度は経験してみる事を私はオススメします。

店長になった瞬間に今まで店舗のプレーヤーだった立場がマネージャーに変わります。

見える景色が180度変わったあの瞬間、今までの断片的な経験のひとつひとつが繋がった感覚がありました。

店長になった私が感じた数々の事
  • あの時にあの店長が言っていたのは、こういう事だったのか
  • 今まで軽く見ていた業務が侮れないぞ
  • 店舗がひとりの生き物みたく感じる・・・
  • 地域の為に働くってこういう事かぁ
  • 店舗の理想を持つ、理想を目指すってエネルギーがいるなぁ
  • 数値達成が本当に嬉しい

他にも店長になって学んだ、気づいた事が沢山あります。自分に入ってくる経験値の量が段違いなんです。

是非この感覚は皆さまにも一度経験して頂きたいです。

そしてもうひとつ、皆さまにお伝えしたいことがあります。

やってみて自分に合わないなと感じたら店長降りたっていいんです。

やりがいがある店長の仕事ですが、その反面大変なこともあります。どうしてもツラさがやりがいを超えてしまったら無理をしないでください。

ドラッグストアの仕事が好き。けどマネージャー職は合ってない。それで全然良いと思います。

そういう時は本部と相談して店長は降りてプレーヤーに戻りましょう。多種多様な働き方ができるドラッグストア。その利点を使いましょう。

実際に私はそのようにさせて頂きました。今は楽しくプレーヤーやってますが、店長経験を通じて何段階もレベルアップしたプレーヤーになれた実感があります。

どうかこの記事を読んだ皆さまには、前向きに楽しく仕事をして頂きたいと思っています。

店長の仕事、楽しく経験してみましょう。

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