年末年始のシフトは地獄
いきなり更新が遅れました。
というのも・・・小売業に従事する皆様はご理解頂けると思いますが、年末年始は勤務シフトが地獄になりがちです。つらいです。
私も12/30~1/3までは、ほぼ連続通しシフトでした。毎日12時間~15時間拘束になりますので、とても辛い年越し、新年となりました。
睡眠時間は4時間ほどでした。自宅に帰ろうか店に泊まろうか迷いましたが、妻がひとりぼっちで年末年始を越す姿を想像して、「それはかわいそうだな」と思い、家に帰ってました。
この体力的負担、仕事→帰宅→寝る→仕事ループのよる精神的負担は、思考力をみるみる奪っていきます。このシフト早く終わる事を望むことしか考えられなくなります。
そして待ちに待った休日!やることは1日中爆睡するのみです!1日寝た翌日からは、また通常勤務がまっているわけです。
こういったところにも小売業で働くと思考停止になる原因がありますね。
人々が休日の時こそ忙しくなるのが小売業です。オフィス街など例外もありますが、平日より土日の方が店舗は忙しいですよね。
それは年末年始にも当てはまるのですが、しかしなぜ普段より年末年始はハードなシフトになるのでしょうか?
その答えはズバリ単純です!
店舗でも年末年始は休みをとる従業員が増えるからです
そんなの当たり前じゃん!わかりきっている!と、そういった意見はあると思います。
しかしそれって本当に「当たり前」なのでしょうか?
今回の記事ではパート・アルバイトの雇用契約について解説します。小売業で働く皆様は、雇用契約についてどういった認識をお持ちでしょうか?
ただ契約書にサインをもらうだけの作業になっていないでしょうか。
雇用契約について理解を深め、そもそもの定義を知ることにより得られるメリットは以下になります。
- これは即効性は無いですが、小売業を長期で続けていく上では、知っておくと便利なメリットになります
- シフト作りのストレスが減る
- パート・アルバイトに対する業務指示に説得力が増す
- 社内マニュアルに対する理解力が深まる
正社員もパート・アルバイトも、小売業に勤務する上で是非知っておいて頂きたい内容になります。
私は現在の役職は店長ではなのですが、店舗全体のシフト作成は行っています。
ただ雇用契約に関する業務は店長が行っているので、私は直接は関われていません。
私の在籍している店舗は雇用契約に関する従業員の理解が不十分です。その結果、休む従業員が続出して年末年始は激務になりました。
別にパート・アルバイトが休むことが絶対に悪いとは、私は思っていません。
駄目なのはパート・アルバイトに説明して理解させられてない社員の方です。つまり、色々やむを得ない時もありますが、社員がシフト関連で激務になってしまうのは、ヒトを管理する立場にある自分自身の責任だということです。
ヒトの管理にも色々ありますが、店舗の出勤体制を安定化させることもヒトの管理に十分該当します。
今回の年末年始のシフトも、店長に契約についての話を完全に任せずに、私自身が行動して関与すれば結果が変わったかもしれません。
全ては行動しなかった私自身の責任なんです。行動しなかったのは・・・意識が低いからです笑
ヒトの管理って半端ないエネルギーを使うのを、身をもって知っているからです。てかこれができると社内でも評価があがってしまうので、私の今の現状維持の働き方に反してしまうからです笑
少し脱線しましたが、パート・アルバイトに対する「雇用契約」について解説していきます!
「雇用契約」とは(会社目線)
まず言葉の意味からです。そもそも「契約」ってどういう意味なのでしょうか。
契約(けいやく)とは、複数の者の合意によって当事者間に法律上の権利義務を発生させる制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%91%E7%B4%84_(%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B3%95)
ざっくり言えば、契約とは人と人の間に法律上の義務を発生させることです。
友達同士で結ぶ「約束」には法律上の義務は発生しません。遊ぶ約束を急に破ったとしても、法律で裁かれるなんてことはないですよね。友情にヒビが入る可能性はありますが・・・。
ただの口約束とは違い法的な、半ば強制力が働くことが「契約」に当たるわけです。
なので雇用契約についても、当然法的強制力が働きます。
大抵の会社は雇用の際に、雇用契約書も用いて契約を行うかと思います。
この雇用契約書という書類が、本来会社側と雇用される側の双方にとって、非常に重要な書類となります。
ここで皆様に質問です!
自分の会社の雇用契約書の内容について詳しく説明できますか?
例えば私の会社のパート・アルバイトの雇用契約書には以下の内容が記載されています。
- 契約者の氏名、住所、連絡先、住民票住所
- 会社と契約者の契約期間
- 契約者が行う業務内容
- 契約者の勤務曜日、時間、週当りの合計勤務時間、公休日
- 最終的に店舗の月間シフトにより就業時間は決定する旨
- 契約者には就業マニュアルに従って勤務する
- 会社が支払う給与の時給、時間帯による加算給
- 他店への応援が発生する事もある点
細かい内容は省いてますが、ざっくりこんな感じです。
新規採用者にはこの内容が書かれている雇用契約書を、一緒に確認しながら説明を行っています。その上で同意してもらえるようなら、サインをもらい無事契約成立となるわけです。
この採用の段階での説明が本当に重要です。
契約書の内容をどれだけ新規採用者に理解させられるかの勝負とも言えます。
私の会社の雇用契約書の内容をくだけた表現に変えるとわかりやすいです。
「契約期間は○○まで、その期間が終了したら再度契約し直しだよ、問題が多ければ契約しない可能性もあるから」
「基本この書面に記載されている業務を、会社の指示するやり方に沿ってやってもらうよ。基本的には指示は絶対。拒否権はないよ」
「シフトは曜日、時間は原則固定で出勤になるよ。年末年始も夏休み期間も関係なし。この書面の契約期間中は、あなたの時間は確保させてもらうよ。労働力を必ず提供してね」
「万が一、契約日に欠勤があった場合は週合計契約時間に達するように、どこか別日に出勤してね。最終的にはそれはシフト作成の際に調整させてもらう」
「もし他店舗で人手不足になったら応援に行ってね。契約書にサインした以上は拒否はできないよ」
「休みが欲しい時は有休、慶弔休暇、その他の休暇でとる方法がある。それは就業マニュアルに従って対応するね」
・・・どうでしょうか。採用されるパート・アルバイトにとっては結構エグい内容ですよね。実際はこんな言い方しませんが、私の会社の契約書に記載されている内容を、簡単に表現するとほんとこうなるんです。
さすが小売業。休みは中々取れなさそう、という雰囲気だけでも伝わりますよね。
採用されるパート・アルバイトは雇用契約書にサインをしたら、原則はこの内容を守ってもらわないといけなくなります。なぜなら雇用契約は法的義務が発生する「契約」に該当するからです。
どうでしょうか。何となく話が年末年始のシフトに繋がってきているのを感じて頂けますでしょうか。
最初の契約の段階で従業員に対して契約内容をしっかり説明をし理解させれていれば、大きなシフトのトラブルは発生しづらくなります。週5契約したアルバイトが実際働き始めたら週1しか出ない・・・なんてことは起きづらくなります。
年末年始のこともこの段階で説明しておけば、従業員はもともと出勤することが当たり前!という雰囲気を作っておくことができます。
これができている店舗と、できていない店舗では、本当にシフトの安定性に天と地ほどの差が生まれます。
「雇用契約」とは(採用される側目線)
ここまで会社側優位な目線で解説していますが、逆に被雇用者優位に言い換えることもできます。契約期間中は曜日、時間が固定ということは、契約した会社は被雇用者に対してその期間中は必ず労働してもらって、給与を支払わなければならないとも言えます。
つまり「今日は店が暇だな。こんなに人数いらないや。○○さん!予定より早いけどあがって!」
これNGになります。
会社も契約書に書かれた勤務時間は、被雇用者に労働させなければなりません。
また就業マニュアルに則した休み希望は会社側は基本断ることはできません。なぜなら雇用契約書にそう記載されているからです。
つまり「○○さん!1日に有休希望だけど、この日は人足りないから出てくれない?」
これ駄目です。
有休は会社が認める従業員の権利だからです。従業員が然るべくして得た有休休暇を、然るべく手続きで行った場合は、会社は承認するが基本原則です。
実際の現場ではけっこう融通きかせてもらってたりしますけどね。有休を別日にずらしてくれたりなんてありがちです。
それはさておき、何が言いたいかというと・・・
雇用契約書においては会社と被雇用者の立場は基本同等なんです。お互いの同意を持って契約は結ばれるのですから。
だからこそ1度結んだ契約はお互い守ることが大前提となるのです。
「今月お金ないから家賃半分だけ振り込んどけばいいか」→まかり通らないですよね?
「大学卒業まで単位が20足りないけど卒業させてもらえるよね!」→留年ですよね?
私たちの生活は契約だらけです。特にお金が関係する場合はほぼ「契約」が絡んでます。何気なくコンビニで水を買う、これも売買契約なんです。
お金の場合は払えない時って延滞とかありますよね。要は、待っててやるから最終的に払えって言ってるわけです。契約は守るのが大前提の考え方です。お金の場合はシンプルです。
これを小売業の場合に当てはめると、会社は給与を提供し、被雇用者は労働力を提供するという形になります。
会社が休んだ日の給与を保証する有休等を除き、欠勤等の無休で休む場合は、不足した労働力は原則どこかで補ってもらわなければなりません。なぜなら会社側も契約書に定めた勤務時間数分の給与は支払うことが前提だからです。
パート・アルバイトの方は労働力を提供している感覚を是非もって頂きたいです。
3つのメリットについて
今回パート・アルバイトについての「雇用契約」の解説をさせて頂きました。
少し長くなってしまったのですが、雇用契約の理解によって得られるメリットについてまとめます。
シフト作りのストレスが減る
業態によっても変わりますが、誰しもがシフト作成において人不足に苦しんだ経験があるかと思います。
契約書に基づいた「雇用契約」の教育ができていると、このストレスは確実に減ります。
パート・アルバイトは採用面接の時は大体良い顔をして、出勤できる時間とか盛って返答してきますよね。それを鵜呑みにすると痛い目に遭うことが多いです。あとはベテランパートさんとかでも、自由気ままに休んでる人とかいませんか?
それが皆様の会社の雇用契約に則しているのであれば問題はありません。しかし実際はそうでないケース多いと思います。
しかし面接や契約面談の段階で、きちんと自分の会社の契約書の内容について、相互理解できていればそのシフトのギャップは大きく減ります。契約書は会社が考え作成しているはずです。普通であればその内容に従って契約すれば、店舗運営は安定します。
雇用契約に理解を示してくれていて、安定した労働力の提供を行ってくれる従業員を優先して雇いましょう。労働力の提供が安定すればするほど、あなたはシフトを組みやすくなります。年末年始出勤可能な従業員=年末年始にも労働力が提供できる人、を多く雇えれば年末年始のシフトのハードさは減少します。
この方法で、私は店長時代に年末年始に3連休した事があります。
パート・アルバイトに対する業務指示に説得力が増す
裏の話にはなるのですが、社員とパートさんはたまにケンカします。ケンカとは言わなくても意見が食い違い、若干揉めることはよくありがちです。
揉める内容は様々です。仕事のやり方で意見が合わない、とかならいいですが仕事以前の幼稚な内容で揉めることも正直あったりします。
- 社員の指示が曖昧、わかりづらい
- お互いコミュニケーションがうまく取れていない
- パートさんは自分なりのやり方で仕事を進めたい
揉める理由にはキリがありません。時間も取られるし、従業員との関係性も悪くなる。ストレスでしかありません。
しかし、ここでも雇用契約についての教育が十分できていると、そのストレスを大きく減らせます。
契約に当り、契約書作成の段階で仕事内容についての記載は必ずされています。その書面にサインをするということは、「仕事内容に納得した上で働いている」という前提がお互いの中でできます。
これが大切です。
仕事を進める上でも、「契約の段階で説明したように・・・」と何かトラブルが起きた際に、お互いが立ち戻る原点ができるからです。パート・アルバイトが業務に対して不満がある。その不満は業務に対するやり方なのか。それともそもそも行いたくないのか。
業務に対するやり方に不満がある場合は健全です。議論を重ねてみんなで納得できる方法を模索すれば良いからです。仕事に対して前向きとも言えます。
しかし特定の業務を行いたくないという不満はマズイですよね。契約書に記載されていて、かつお互いが納得した上で契約しているのですから。契約が成立している以上、社員が指示する業務は気分が乗らなかろうがやってもらわないといけないわけです。
そういった際に、従業員に対して
「契約の段階で説明したように・・・」
このパワーフレーズを使いましょう。契約書に同意しているから、そもそも納得してこの職に就いてましよね?と話ができるわけです。「契約が成立してるからには、契約書通りの労働力を提供してください」と説明することできます。
雇用契約についての理解ができていると、こういう角度から従業員に対して話がきるようになります。
社内マニュアルに対する理解力が深まる
これは副次的なメリットになります。
社内マニュアルを知っていればいるほど、従業員に対する話の説得力って増します。社内マニュアルって社内のぶれない基準に該当しますからね。
けど小売の現場って意外と社内マニュアルを完全に理解できている人って少なかったりします。普段の業務が忙しすぎたり、マニュアルを現場流にアレンジしているうちに、もとのマニュアルとかけ離れたりするんですよね。
雇用契約の重要さを理解すると、社内マニュアルの重要さについても理解できます。
要は雇用契約って、お互いの根本的な原点を作っときましょう、ってことなんですよね。ぶれない基準点を作っとこうとも言えます。
ぶれない基準ができていると、判断に迷うことが少なくなります。その基準に沿っているかどうかで判断すればいいからです。それって簡単ですよね。つまりストレスが減るんです。
これは社内マニュアルにも、そのまんま同じことが言えます。
なので雇用契約の重要さを真に理解している人は、社内マニュアルの大切さも知っている、大切さを知っているので自ら調べ、知識として吸収しようとする姿勢になるということです。
店舗で起こしてほしいアクション
雇用契約に対する理解を概念として頭にいれておくことは重要です。
最後に具体的に「雇用契約」への理解を深めるアクションをお伝えします。どれもさほど難しいことではありません。
①パート・アルバイトの雇用契約書の内容を読んでみる。
②パート・アルバイトは「労働力」を、会社は「給与」を、それぞれ公平な立場で提供し合っているという概念を持つ。
③「労働力」の定義をハッキリさせる。各個人で異なる。時間数は?業務内容は?個人毎の契約書の内容に記載されている。
④上記3項目を自分の言葉で話せるようにしておく。
まずは①から始めて見てください。
来年の年末年始はハードなシフトをできるだけ減らしたいですね・・・。
ご覧頂きありがとうございました!
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