【押し売り?】ドラッグストアの推奨販売について現役社員が語ります【販売ノルマ】

ドラッグストア(総合職)

こんにちは!夫婦揃ってドラッグストア共働き、ふくのしまです。

ドラッグストアの仕事が未経験の方は、タイトルを見て驚かれた方もいるかと思います。

「ドラッグストアって人の健康に関する商品を扱うのにノルマがあるの!?」

そういった疑問があるかと思いますが、現実としてドラッグストアにはノルマがあります。小売業ですから店舗の売り上げ目標は当然設定されています。

会社としては営業した結果として利益を上げなければなりません。その為には売上目標は必要不可欠であると私は思います。

その目標を達成する為の1つの作戦として、「推奨販売」というものがあります。ある特定の商品を特に力を入れて販売して、売上と粗利を確保しようとする試みの事を指します。

そして店舗全体の目標とは別に、推奨販売品にはそれぞれ販売目標が設定されています。

店舗従業員は目標と実績をにらめっこしながら「このままだと目標行かない!やばい!」と日々頭を抱えながら、お客様に必死に商品を薦めるわけです。

ドラッグストアではどの企業でも積極的に行っている事なのですが、良い部分もあり悪い部分もあります。

そしてドラッグストアで働く従業員はこの推奨販売に関しては結構意見が分かれ賛否両論あります。

今回の記事ではドラッグストアの推奨販売について知って頂ければと思います。ドラッグストアで働く上では、どの方も避けては通れない事です。

ドラッグストアの推奨販売とは?

既に少し触れましたが、推奨販売とは会社で定めた特定の商品を特に力を入れてお客様に販売する事です。

会社によっては推売、販売チャレンジ、販売コンクール等、色々な呼び方をされますが、内容はどれも推奨販売と同じです。

推奨販売品として選ばれる商品のカテゴリーは化粧品や日用雑貨はもちろん、医薬品にも推奨販売品は存在します。

推奨販売品として販売される商品は、使って頂くとお客様にメリットが大きい優れた商品が選ばれます。

しかし推奨販売品として選ばれる理由としてはそれだけではありません。

例えば粗利額です。各カテゴリーの中から選ばれる商品は単品で見ると、粗利額がかなり高い商品が非常に多いです。

頑張って売れば売るだけ利益が確保できるという事です。

他にも推奨販売品として選ばれる商品には幾つか規則のようなものがあります。

  • 話題の新商品
  • 競合ドラッグストアでは扱っていない自社のみ販売している製品
  • 会社が販売していきたい商品
  • 粗利額が高い商品

これら複数の理由が絡み合って推奨販売品は決定されています。

例えば、他のドラッグストアでは取り扱いの無いメーカーの化粧品で粗利も高い商品。そのような商品は推奨販売品に選ばれる可能性が高くなります。

他にもメーカーがかなり力を入れて売り出したい日用雑貨品の洗剤。洗剤の新商品は本体がまず売れますので「最初の1本を自分の会社の店舗で買ってもらいたい」という事で新商品が推奨販売品になったりもします。

会社の事情や伝統、メーカーとのやり取りなどの様々な要因で最終的に推奨販売品は決められています。

店舗で行う推奨販売の活動

推奨販売を行う商品が決まったら、実際に店舗で販売に向けて活動していきます。

まずは従業員が商品を知るところからスタートします。店長が中心となり推奨販売の商品の勉強を従業員全員で行っていきます。商品知識が無いとお客様にはご紹介できませんからね。

さらに知識だけでなくてどのようにお客様に商品を勧めたら良いか、接客の仕方も勉強していきます。

推奨販売を行なっていく際には、まず最初に従業員が販売活動をできるように教育していく所からスタートします。

あとは店舗毎にどのように紹介していくかを決めます。やり方を決めて全員一致団結して行っていく、という流れになります。

店舗の売場も推奨品が目立つように工夫して展開していきます。

以下はドラッグストアが推奨販売活動でよく行う取り組みの一例です。

  • レジ接客中に推奨販売品を薦める
  • 推奨販売品の関連商品を見ているお客様に売場で声をかける
  • 売場が目立つように1番目に入りやすい棚最上段にダイナミックに商品を展開する
  • 試飲会、化粧品相談会などの店舗イベントを開催する

コロナ禍においては難しいのですが、栄養ドリンクの試飲会を行っていたり、化粧品のメイク会などのイベントをドラッグストアでやってるのを見た事ありますでしょうか。

また急に商品のオススメをレジでされた事がある方もいるかもしれません。

あれらでオススメしている商品は推奨販売品である事が多いです。これらの取り組みからも、ドラッグストアは推奨品を販売する為に積極的に活動をしている事がわかります。

現場で発生している不満や葛藤

売上を立て利益を確保するために、推奨販売は非常に優れている戦略です。

しかし実際の現場である店舗では従業員達の負担となり悩みの種となっている事も多いです。これは事実です。

私はドラッグストアの店舗で10年以上働いていますので、幾つもの店舗が推奨販売に取り組み苦戦している様子を見ています。

その中でも推奨販売に対する不満や葛藤には、店舗は違えど共通している事がありますのでまとめてお伝えします。

売上目標=ノルマ、精神的なプレッシャー

ドラッグストアは会社で利益を出す事が求められます。必ず推奨販売には各店の販売金額目標が設定されています。この目標に対しての進捗が良くない場合の精神的なプレッシャーはやはり大きいです。

イメージを持ってもらう為に、売上目標をあえて「ノルマ」と表現します。

推奨販売品の目標に対する進捗は、本部側から頻繁に店舗に連絡が入ってきます。進捗が良ければ問題ないのですが、進捗が悪い場合は色々とストレスになります。

進捗が悪いとどうなるか…以下にまとめます。

  • 「〇〇店の進捗が良くないです。原因と対策を考えて報告してください。」と本部から圧がかかる。
  • 他の作業よりも推奨販売を優先しないとならない場面が出てくる。
  • エリアを統括する上司が店舗でチェックに入る

不調の原因を淡々と詰められるイメージです。上司によってその詰め方も様々です。

本部側の上司はどう取り組んだらいいかを一緒に考えてくれる方もいれば、体育会系のノリで「絶対に目標は必達だからな!」と、圧をかける方も実際に見たことがあります。こればかりは上司次第です。

推奨販売品の売上が悪く、かつ上司の圧力が強いと、店舗の従業員がとりあえず数値を出す為に自分で商品を買ってしまうという現象が起きる事もあります。

これは最悪なパターンです。推奨販売は粗利を確保する為だけでなく、その裏に従業員の接客販売の能力向上という目的もあります。

従業員達が自分達で商品を買ってしまってノルマ問題を解決してしまっては、店舗の接客能力はいつまで経っても向上しません。

ただそうせざるを得ない圧力をかけてくる上司が中にはいる事も事実です。本部側の人間なのか、店長なのか…どちらにせよ推奨販売は数値だけ作れば良い、という事ではありません。

お客様に使って頂くメリットがある。全てはお客様の為になるかどうかです。

そこを勘違いして、売上という数値が第一になってはいけませんね。

推奨販売品が毎回同じ

推奨販売品は「他の会社にはない自社にしかない売上」としたい商品達です。差別化を図れるレベルに達する為には、それなりの年月がかかります。

「今はまだ脇役の商品を皆で紹介してお客様を徐々につけていって人気商品に育てよう!」って事です。時には知名度の高い商品が選ばれている事もありますけどね。

そういった背景があるので、推奨販売に選ばれる商品は毎回ほぼ同じです。推奨販売は大体季節ごとにパターンが決まっています。

  • 夏場の日焼け止め
  • 真夏の疲れに効く栄養ドリンク
  • 冬の乾燥肌系の商品
  • 冬の風邪薬
  • 通年販売拡大していきたい自社製品

などなど。これは一例です。

「今年も夏の栄養ドリンクの季節がやってきました!頑張りましょう!」毎年こんな感じです。

推奨品を売れるように育てるという目的もある為、毎回推奨販売の商品が大きく変わらない事は仕方ない事かな、と私は思います。店舗では不平不満の声も上がりますけどね。

しかし商品が変わらないという声よりも、不平不満の原因として最も多い理由として、「推奨販売品の目標金額の設定」が挙げられるかと私個人的には思います。

推奨販売品の売上目標は基本的には、前年の販売金額の数値を参考にして上乗せされる傾向が強いです。

もともと販売難易度が高い商品が推奨販売日として設定されていて、店舗が必死の取り組みで何とかノルマを達成します。

店舗の必死の取り組みの結果である販売金額に対して、翌年はさらに目標を高く設定され「さぁ、今年も頑張って!」となるわけです。

特にずっと同じ店舗で働くパート、アルバイトは絶望している場面を多く見かけます。

この内容は少し深掘りします。

どんどん高くなる目標…その結果何が起きるか?

推奨販売品は知名度が低かったり、販売する事自体難しい商品も多いです。その商品を販売する為の努力や工夫に費やす労力は凄まじいものがあります。

お客様の紹介に時間を割いて、さらにイベントを行ったり、オリジナルの紹介チラシを作ったり…やれる事はとことんやっても売れるかどうかは時の運だったりします。

店舗の努力」「買って頂けるお客様」この2つが揃って初めて売上という数値が生まれます。実際の現場で働いてる私からすると、売上が立つ事はまるで奇跡のような瞬間に感じます。

その取り組みの結果として何とかノルマを達成します。達成感とノルマを超えた安堵感が半々といった感情です。

しかし翌年はその限界ギリギリを攻めた取り組み結果に対して、さらに高い目標を設定されます。

「ウッ…」と心が重くなる、正直な感想です。去年以上に何かしないといけない。これ以上どうしよう、と悩むんですよね。

さらに接客時間を増やそう!とかイベントを増やそう!とか色々考える事はできます。

しかしながら取り組む為には時間が必要になります。時間は無限にあるわけではないですし、限られた時間の全てを推奨販売に費やす事もできません。

ドラッグストアの業務は多岐に渡ります。レジも品出しも事務作業も同時並行で行い、使える人件費も決められています。その中で推奨販売の時間を捻出しなければなりません。

既にできる限りの時間を目一杯推奨販売に使ってる店舗は、さらに高い売上目標にかなり絶望を感じます。

ちなみにこういう場合の一つの解決策として…時間がこれ以上取れないのならば、行っている推奨販売活動の「質」を上げるという考え方があります。量より質、今の取り組みで、よりお客様に販売に繋げるために時間がかからない工夫を考えるという事です。

この記事では割愛します。

年々と推奨販売品の目標金額が高くなってくると、ある考えがふと浮かんできます。

「どうせ来年もやるんだし、今年はこのくらい売っておけば来年の目標は楽に済む」

こういった考えの店長や担当者が現れ始めます。実は推奨販売の取り組みの熱量は、店舗によって大きな格差があります。

やれる限界ギリギリまで頑張ってる店舗もあれば、まだまだ余裕がある店舗や推奨販売の取り組みを頑張ってる風の店舗もあるのです。本部側もこの事は勘づいています。

そういう店舗がもっと頑張れば売上がさらに増すはずだ、という考えも推奨販売品の目標が年々高くなる理由の一つです。

真面目に頑張ってる店舗は推奨販売品の売上を順調に伸ばしています。前向きに楽しみながら取り組む店舗も多いのですが、あまり熱心に取り組んでいない店舗がある事も事実です。

売上目標の高さは純粋にツライのですが、その裏には推奨販売への意識の高さが店舗によって格差が大きいという事も秘められています。

医薬品の推奨販売品について

薬剤師や登録販売者の方が一度は悩んだり、心に引っかかる部分です。医薬品にも推奨販売品が存在します。

代表的な商品ですと、風邪薬や栄養ドリンク、ビタミン剤です。これらの商品の中にも販売に力を入れたい推奨販売品が存在します。

全ての商品において「絶対この商品が良い」というものはありません。医薬品に関しては特にそうです。

ひとりひとりの体質によって効果が期待できる成分には差があります。効き過ぎてしまって体に不都合な反応が起こる事もあります。様々な要因が複雑に結び合い影響し合って、医薬品は効能を発揮しています。

だからこそ医薬品の販売を行う資格者は、お客様の体調の事をしっかりと聞き出し、慎重に医薬品のご案内をする必要があります。「絶対に良い薬」というものは存在しないからです。

薬剤師や登録販売者はこの前提を基本に医薬品は接客を行う事になりますが、医薬品の推奨販売品という要素が絡んでくると少しややこしい事になってきます。

「今回の冬の風邪薬のシーズンは、推奨販売品の〇〇風邪薬を優先的に紹介していこう。」

本来はお客様の症状を聞いてから見合った医薬品を紹介するはずの接客が、先に売る商品を決めておいてお客様の症状を当てはめていく、という逆転現象が起きてしまいます。

薬剤師、登録販売者でここに違和感を覚える人は多いかな、と実際の現場を見ていて感じますね。

絶対に良い薬が無い事の裏返しで、全く効かない薬もありません。総合風邪薬などは風邪の諸症状に効能が発揮されるように、どの商品も一通りの成分は入っているからです。

「風邪には効くからこの推奨品でも良いんだけど、本当はこっちの医薬品の方が合ってそうなんだよなぁ…。けど推奨品の売上が良くないと上から色々言われるし…。」

というような葛藤が生まれます。医薬品の推奨販売に関しては、ここで私の見解を深掘りしてお伝えします。

お客様の症状に合った医薬品を薦めれば良い

私の見解はシンプルです。

推奨品とか関係なく自分の知識においてベストだと思う医薬品を薦めれば良い、という答えになります。

私達の仕事はお客様の健康に貢献する事です。お客様の症状に1番合う商品を紹介すれば良いんです。それがたまたま推奨販売品なのか、全く違う商品なのかはその時の状況次第です。

ドラッグストアは接客業でもあります。推奨販売品に限らず押し売りはいけません。お客様の症状を聞き取りして、さらに要望を確認してお客様の悩みを解決しなければなりません。

症状的には推奨販売品がベストでも「ちょっともう少し値段を抑えたい」という要望がお客様から出てきたら、別の商品の選択肢を考えてあげないといけません。

医薬品には副作用や薬の飲み合わせで禁忌となるケースもありますので、時には断固としてお客様の要望を断らなければならない事もあります。

しかしあくまでお客様が買い物の主導権を握っている事は忘れてはいけません。商品の紹介をしてお客様が「これ!」と言ったらそれがベストなんです。

推奨販売自体は積極的に取り組んで良い

先程の見解として矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、私は医薬品の推奨販売品を決して否定しているわけではありません。むしろ頑張って取り組んで良いと思っています。

やってはいけない事は推奨販売品のみをやたらとひたすらに紹介する事です。これは押し売りです。

「この薬、誰にでも何にでも効くんですよ」って言っているようなものなので、絶対にやってはいけません。押し売りに関しては私は強く否定します。

お客様に合っている可能性のある商品のひとつとして、推奨販売品を紹介する事は間違っていないと思います。

お客様の要望に推奨販売品が1番適しているのであれば、店舗もお客様も両方嬉しい販売となります。複数の商品から、もしお客様が別の商品を購入した場合も、お客様に豊富な選択肢を提供したと考えれば紹介自体は悪い事ではありません。

やたらと圧力をかけてオススメしたり偏った情報のみを提供する押し売りでなければ、お客様が自分自身で納得してお買い物する為にも従業員は積極的にサポートをすべきです。

以上の理由から医薬品の推奨販売品は押し売りにならないように注意すれば悪い事ではないと考えています。

そもそもの話ですが、会社が選ぶ推奨販売品は優れている商品である事の方が多いです。値段が少し高価だったり、知名度が少し低かったり欠点もありますが、成分的には非常に優秀な商品が選ばれます。

特に医薬品は成分表示が詳しく記載されているのでより分かりやすいです。値段は高いが他の医薬品より色々な成分が入ってる等、自信を持って商品の強みを紹介できます。

成分的に微妙と感じる推奨販売品でも、ひとつずつ成分を細かく見ていくとその商品特有の配合がされていたりします。推奨販売品の優れているポイントを深く把握する事は接客を行う上では必須です。

医薬品の推奨販売はお客様の要望に合わせて推奨販売品、それ以外の商品を柔軟に紹介していく姿勢で取り組む事ができれば全く問題ありません。

【個人的見解】結果よりも過程が大事

会社は利益を出さなければいけないので、最終的な数値結果は重要です。数値結果は販売金額の事です。数値としてどれだけ販売できたか、表面上の結果は軽んじてはいけない事は大前提です。

では結果である販売金額が高ければ良いのか。目標に達していればそれで良いのか。

私は結果よりも過程こそが真に重要な事だと考えています。

推奨販売の成功にはそこに至るまでの過程が必ず存在します。ひとつひとつの取り組みが絡み合い、その結果として販売に繋がり売上という数値が生まれます。

同じ販売金額でも過程は異なる

ここで例を挙げてみます。販売目標5万円のとある推奨販売に取り組んだA店とB店があったとします。

どちらもジャスト5万円の売上を立てる事ができて、ひとまず無事に目標は達成できました。それぞれの店舗の販売金額5万円までの課程は以下のような感じです。

A店
  1. 店長を中心に推奨販売品のパート、アルバイトも含め全員で商品知識の勉強会を実施した。
  2. 知識だけでなく接客話法や、推奨販売活動の時間毎担当などのルールも決めた。
  3. 推奨販売活動のそもそもの目的を全員で共有し、その上で目標金額の数値も共有した。
  4. 1日の声かけ人数目標を決めて各自取り組みをスタートした。
  5. 朝礼や終礼でその日の活動内容を振り返り、上手くいった事例があれば全員で共有した。
  6. 推奨販売活動が不得意なアルバイトには、店長から無理のない範囲で簡単な目標を設定して挫折しないように努めた。
  7. 1週間ごとに金額目標に対する進捗を確認した。
  8. 進捗が良くない場合は問題点を考えて、新たな対策を行った。

A店はかなり熱心に推奨販売に取り組んでいる事がわかりますね。最初に推奨販売を行う上で欠かせない商品知識や接客方法を全員で勉強して、店舗一丸で取り組む準備を行っています。

推奨販売活動を誰がどの時間に行うかも決めていて、無理なく確実に活動ができています。さらに販売金額も適宜チェックをしていて、進捗によって対応を変化させています。

ひとりでも多くのお客様に商品を紹介しようとする意識の高さが見られます。

これだけ取り組めているのならば、販売目標金額も達成できそうな気がしますよね。

では次にB店を見てみましょう。

B店
  1. 店長が推奨販売活動にあまり意欲が無く、店舗ではとりあえず目標金額の把握だけは行った。
  2. 何も活動しない事はマズイと思い、売場は大々的に作った。
  3. しばらく推奨販売品に関して放置していたが、たまたま何名かのお客様が売場を見て推奨品を購入をしていた。
  4. 販売目標金額にまだ少し足りなかったので、残りは店長が自腹で購入して目標を達成した。

推奨販売活動に対して明らかに問題がありますね。

推奨販売活動は販売金額ももちろん大切ですが、商品のファンを増やす為にお客様にご紹介を行う事が最も重要です。

B店は目標金額は確かにクリアしています。しかし従業員の商品に対する知識も無く、肝心の商品の紹介はほぼできていません。つまり店舗の推奨販売活動のレベルが全く上がっていません。

推奨販売品は変更になる事が少なく、翌年もまた同じ商品の推奨販売活動をする可能性が高いです。しかも目標金額はより高くなります。

推奨販売活動のレベルが上がっていないまま高い目標を課せられる事になります。次の推奨販売活動はより苦しいものになります。

さらにB店のツライところは、今回たまたま購入して頂いたお客様が接客を受けていない為に、本当に商品のファンになってくれたか分からないという事です。

お客様がちゃんとした接客を受ける事、商品のファンになってくれる事には大きなメリットがあります。

推奨販売活動の先にあるメリット
  • 商品のファンになってくれたお客様は自ら定期的に購入してくれるようになり、従業員の推奨販売の負担が減る
  • 購入に至らなくとも接客を受けたお客様は商品の記憶が残り、再来店した際に購入してくれる可能性が増える

高い販売目標を課せられた際に商品のファンが多くいる場合は、何もせずとも自動的に売上が立ちます。上乗せされた目標金額に対しては新しいファンを作る事に集中すれば良いのです。

また接客をして購入に至らなくとも、お客様の記憶には商品の情報が記憶として残ります。

「前になんか良い商品があるって言ってたなぁ…。」

これだけでもお客様の印象に与えておけば、何かの際にお客様がまた来店して購入してくれる可能性が生まれます。

推奨販売活動は未来の売上に向けて種まきをしているようなイメージです。少しずつ種は成長していき後に木になり、最終的には実を産み落とします。

そこまでの状態にもっていくには時間がかかります。推奨販売活動は忍耐強く継続する持久力が求められます。

販売目標金額に到達するかどうかは評価に関わりますので重要です。しかしA店のような地道な種まき活動こそが、最も重要な事だと私は考えています。

どうしても苦手意識がある方へ

推奨販売活動は地道な取り組みこそが重要だと、この記事では述べさせて頂きました。

しかしそれでもどうしても苦手な方はいるかと思います。実際に私も得意ではないです。

  • 自らお客様に話しかける事が苦手、申し訳なく思ってしまう
  • 勇気を出して声かけてもあっさり断られて気持ちが折れる
  • 担当業務で精一杯で余裕がない
  • 自分はやる気があるのだが、周りがイマイチのってこない
  • 推奨販売を行う意義に納得できない

理由は人それぞれです。私の場合はお客様に急に声を掛ける事自体が押し売りに近いのではないか、という考えが根本にあるので結構苦手意識は強いです。

推奨販売活動に対しての考えは千差万別で、個人差が大きいです。能力的にも得意な人、そうでない人が分かれます。

ひょいとお客様の懐に入り込んでガンガン紹介できる従業員もいれば、接客の機会があっても中々うまく言葉が出てこない従業員もいます。

ある程度の場数をこなせば上達する事は事実なのですが、それでも個人差はどうしてもあります。

私は推奨販売が苦手な方に是非伝えたい事があります。気持ち的、能力的に苦手な方の両方に対して共通している事です。

簡単な事からひとつずつやってみましょう!

「簡単な事」の定義は人それぞれです。売れても売れなくても売場でお客様にお声かけする事が簡単な人もいれば、声をかけるだけでも勇気がいる難しい事に感じる人もいるでしょう。

まずは自己分析をしてみましょう。以下の問いかけを自分自身の心にしてみてください。

どの行動が自分には困難に感じるか、どの行動までなら自分には易しく感じるか。

難しい事と簡単な事の境界をギリギリまで見極める。

自分からお客様に声掛けする事が難しい、ストレスに感じる。しかしお客様の方から相談されれば商品の紹介は一通りできる。こういう方がいたとします。

こういった人は「自分からお客様にアクションする事」が苦手だとわかります。お客様に声掛けする事は推奨販売の中でも勇気がいる事です。

話しかけた後はすぐに商品の紹介が始まりますからね。勇気出して声かけても話すら聞いてくれない事だって多いです。

この場合はお客様へのアクションである「声掛け」をもう少し優しいレベルに落としてみてはいかがでしょうか。

具体的には「売場でお客様にチラシを配る」などハードルを落とす事を意味します。「声掛け」は難しく感じるかもしれませんが、「チラシ配り」ならば少し簡単に感じるのではないでしょうか?

「売場でのチラシ配り」も難しく感じるのであれば、レジでお会計のお客様にそっとチラシを渡すでも良いかもしれません。一言添えてレジ袋の中にチラシを折り込んで入れる、でも問題ないと思います。

いきなり百貨店の店員のような推奨活動を目指すとハードルが高く感じてしまいます。途中で心が折れます。

今の自分でも実現可能な事を見つけ、毎日コツコツ積み重ねていく事が大切です。難しい事にいきなりチャレンジする必要はありません。

毎日でもコツコツとやっていると、次第にお客様へ何かアクションを起こす事に慣れてきます。そうすればこの例で挙げたような「声掛け」が苦手な方も、少しずつ苦手意識が薄れていきます。

売場での声掛けに拘る必要はないです。自分ができるシチュエーションでの行動を続けていけば良いんです。

自分に可能な行動を続ける事によって、少しずつでも推奨販売活動のレベルはあがってきます。得られる経験値は少しでもコツコツ溜めていければいつかはレベルアップします。

【最後に】どうせやるなら前向きに

いかがでしたでしょうか。今回の記事ではドラッグストアの推奨販売に関して私なりの見解をまとめさせて頂きました。

推奨販売の仕組みから、店舗に課せられるノルマ、実際の店舗の不満などブラックな所もお話させて頂きました。

ここまで踏み込んだ内情を伝えたかったのには理由があります。それはドラッグストアで働く上で必ずどの方も経験する事になるからです。

記事でも解説しましたが、ドラッグストアの推奨販売は一回きりで終わりません。毎年毎シーズン何かしらの推奨販売活動を取り組む事になります。

つまり常に私たちの仕事に付きまとう、という事です。常に私達の身近に存在する推奨販売に対して、どのような心持ちで臨むかによって毎日の仕事への気持ちは大きく変わります。

「また推奨販売活動かぁ。面倒くさいなぁ。やりたくない。」

「こんなノルマ達成できるわけないよ。頑張っても来年つらくなるからやってる雰囲気出しておけばいいか。」

「金額だけ達成してればいいんでしょ。自腹で買って済ませよう。」

心の不調は体に直結します。こんなネガティブな気持ちで仕事していると、いつかは精神的なバランスを崩して体調を悪くします。

推奨販売活動は常に私達に付いてきます。推奨販売に否定的な意識だと、毎日心のどこかにネガティブな気持ちを抱えたまま過ごす事になってしまいます。

どうせ毎日やらなければいけないのならば、いっそう前向きな気持ちで取り組めるように工夫しませんか?

工夫の仕方はこの記事でも触れました。自分の苦手な事を把握して、でも出来る事を徹底的に考えてみましょう。

簡単な事で良いんです。これならやれる、と思えた事をやれば100点満点なんです。

他人や他店舗と比べて一喜一憂するよりも、自分自身と向き合いましょう。昨日より今日、今日より明日です。毎日の積み重ねはあなたの自信に繋がります。

そして些細な事でも推奨販売活動に取り組めた自分を褒めてあげながら仕事しましょう。「私はこんな事しかできないんだ…。」なんて考える必要は全くありません!

どうせ毎日やるなら、自分にとってプラスになるように頑張りましょう!

私もまだまだ苦手な推奨販売活動ですが、この記事を読んで下さった皆様と一緒に精進していきたいと思います。

例え売上金額が不調で本部から問い詰められても「今の私がやれる全力を出し切って毎日頑張れてます!」と胸を張って言えるような取り組みをしていきましょう!

長い記事を読んで頂きありがとうございました。

追記

こちらの記事は現在ドラッグストアで勤めている方々にも沢山読んで頂いてます。嬉しい限りです。

中には推奨販売問題も含め仕事で悩まれてる方も多くいらっしゃるようでした。

もし仕事をしていて辛くなった時…私の社会人経験からアドバイスできる事が幾つかあります。

本当に悩まれてる方いましたらこちらの記事もご覧ください。

薬剤師、正社員、パート、アルバイト…全てのお仕事に関わる方に向けての記事です。仕事が本当に辛い時あなたはどうしますか?実は皆さんが見逃しがちな事があります。ぜひチェックしてみて下さい。

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