「薬局」と「ドラッグストア」の違い
近年ドラッグストアは店舗数も大幅に増えてきています。そして取り扱うサービスの種類も年々充実していってますね。
今では食品取り扱いなんて当たり前ですし、公共料金の支払いも行えますし、カフェが併設されている店舗なんてのもありますよね。店舗も年中無休に近く、24時間営業しているとてつもない店舗すらあります。
その中でも便利に感じるのは、ドラッグストアの核となる医薬品関連のサービスの充実ですね。特に病院の薬を受け取れる調剤機能を持った店舗が近所にあると安心ではないでしょうか。
しかし皆様、とある疑問は持ったことありませんか?
「店舗は営業しているのに薬局は閉まっている・・・」
店舗が開いているから処方箋を持っていったらもう受付してなかった・・・そんな経験はないでしょうか?
その理由として「薬局」と「ドラッグストア」って法的な定義が実は異なるんです。同じ意味合いの言葉として使われることも多いですよね。
私が店舗で勤務していて、実際にお客様からよく問い合わせがある内容でしたので今回記事にさせて頂きました。
シンプルにさくっと解説していきます!
薬局とドラッグストアで取り扱う医薬品について
私たちが普段服用する医薬品は、効能や副作用から法的に種類が分けられています。
以下の2種類に分類されています。
- 医療用医薬品
- 一般用医薬品
薬局、ドラッグストアにおいて医薬品は重要な存在です。取り扱う医薬品の種類によって店舗の形態は大きく変わります。
医療用医薬品
病院や診療所などで医師が診断した上で処方される医薬品のことです。医師の発行する処方箋がないと薬局側も患者様に販売することができません。医療用医薬品は薬剤師のみが取り扱うことができます。登録販売者では取り扱うことができません。
風邪で病院に診てもらって出された薬から、心臓病の方が飲む薬、癌の薬など、医師が判断して処方箋を出された薬はこちらに該当します。
医薬品の効果と副作用について注意が必要な成分が多い為、医師と薬剤師の専門家の判断が必要になるということです。
一般用医薬品
処方箋がなくても自分で好きな商品を選んで購入できる医薬品です。
市販薬やOTC医薬品(Over The Counter)とも呼ばれます。テレビCMで見かける風邪薬や、昔から馴染みのある商品も多いので、皆様の生活にも身近な商品が多いかと思います。
店舗で誰でも好きな商品を購入することができるので、安全性に配慮されさらに細かく種類が分けられています。リスク区分といいます。
以下に分かれます。
- 要指導医薬品
- 第一類医薬品
- 第二類医薬品
- 第三類医薬品
上から順に副作用や薬の飲み合わせに注意をしなければいけない順になっています。
薬剤師は全ての医薬品を販売することができます。
登録販売者は第二類医薬品と第三類医薬品を販売することができます。
まとめるとこのようになります。
市場的には第二類、第三類医薬品が多いですね。数自体は少ないですが第一類医薬品には、有名で使用される方が多い商品もあります。
厚生労働省からわかりやすい資料が公開されてますので、気になる方は見てみてください。
「薬局」とは
薬剤師が常駐していて、主に医師が発行した処方箋に基づいて調剤業務を行う。
調剤業務では医療用医薬品を取り扱います。販売資格があるのは薬剤師のみなので、薬剤師が常にいないといけないのも納得ですね。
一般用医薬品なども取り扱う場合もありますがそれは店舗によって異なってきます。調剤だけ行っている薬局でも、os-1飲料などチラホラ販売してるところありますよね。
店舗形態としては「薬局」となります。
「薬局」としての営業許可を得た店舗は、店名に「○○薬局」とつけることができます。
「ドラッグストア」とは
薬剤師か登録販売者が常駐していて、主に一般用医薬品を取り扱います。
日用品や化粧品、食品まで幅広く取り扱うのはドラッグストアです。「物販」と呼んだりします。また要指導医薬品、第一類医薬品は薬剤師が勤務している店舗のみで取り扱います。
店舗形態としては「店舗販売業」となります。
店舗販売業では店舗名に「○○薬局」とつけることはできません。
調剤併設型ドラッグストア
「薬局」と「ドラッグストア」の2つの機能が合わさった店舗形態です。薬局とドラッグストアで行える全てのサービスを兼ね備えています。
近年はこの形態の店舗が増加傾向にあります。大きなドラッグストアの一角に調剤コーナーが設けられている店舗ですね。
お買い物をしつつ病院の薬も受け取れる。ひとつの店舗で全てが完結するのは本当にありがたいですよね。
端から見れば同じ店舗ですが、これも役所への営業許可の申請の仕方で若干変わってきます。
ここに今回の記事の質問に対する答えがあります。
主に2つのパターンがありますのでそれぞれ解説します。
まず1つ目が薬局機能とドラッグストア機能を合わせたひとつの店舗として、営業許可を得ているパターンです。
この場合は、「店舗の営業時間=薬局の営業時間」となりますので、店舗が営業していれば調剤業務も行っているということになります。
逆に物販側でも薬剤師が常に勤務しているということになりますので、要指導医薬品と第一類医薬品を常に販売できます。
2つ目が調剤、物販それぞれの店舗機能ごとに営業許可を得ているパターンです。
この場合、薬局側は調剤機能が必要な時間帯だけ営業することができます。
たしかに薬局が常に営業していれば便利です。ですが薬局は医師が発行する処方箋がなくては医薬品が販売できません。
つまり病院が休みの時って薬局を利用する患者様が著しく減るんですよね。
この業種は小売業の側面もありますので、経費の管理は厳しく行われた結果こういった営業のスタイルが増えました。
医薬品は法律関連がとにかくキビシイ
店舗が営業しているにも関わらず調剤受付が終わってしまっているのは、役所への届け出の仕方で営業時間が決められているということが理由となります。
営業時間は販売が許可されている時間ともいえます(例外で営業時間外に販売する事もあります)
役所への届出には、資格者は誰がどの曜日のどの時間勤務しているかも記載します。かなり細かくチェックされてますよね。
医薬品は皆さまの健康、命に直接関わる可能性があるので安全に管理されなければまりません。販売する体制のチェックも相当厳しくなるんですね。
届け出の内容と異なる営業をしている場合は最悪営業停止になる可能性もあります。
働いている従業員としては、せっかく店舗まで来て頂いたお客様の要望に応えてあげたい気持ちはヤマヤマなんです・・・。けどどうしても原則は守らないといけないんです。
従業員はイジワルをしたいわけでは決してない、ということだけでもわかって頂けると嬉しいです泣
コメント